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土地を相続する事

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今現在、家を探している。アパートを転々とするよりも、定住できる場所を作っておいた方が後々楽だと思ったからだ。もちろん金銭的な面でも早めにローンを組み、返済をしていった方が老後の心配が減るだろうという目論見もある。まあ、そんな訳で土日は専ら、ハウスメーカー巡りか建売住宅巡りをしている。ハウスメーカーで住宅を立てようとする場合、三つの方法を提案された。土地を購入して建てる方法、土地を貰って建てる方法、住宅を取り壊して建てる方法だ。他にもあるかもしれないが、この三つがだいたいの人に当てはまるらしい。嬉しいことに、自分には三つともの選択肢が取れるようだった。

 地方都市の外れ、田畑がチラホラある地域に実家がある。元を辿ればその地域の大地主らしく、家が分かれた今となっても兄弟姉妹に一つづつ宅地を分ける事の出来る程度には土地を持っている、それが自分の実家だった。と、いっても父母は普通の会社員で、祖父も農産業に携わっていたらしく、家が大きく土地が広いという点を除けば平均的な生活レベルだったと思う。贅沢品を多く買い与えられた事は無いし、海外旅行も一度きり。逆に、高校卒業後の進路については金を出さないと言い張り、泣く泣く商工関係の高校は進んだ過去がある。今に思えばどちらかというと貧しかったのかもしれない。

 実家を出て数年、家庭を持ち、金銭を安定して稼ぐことができるようになってきた。そこで冒頭に戻るが家を買う話が出た訳だ。ハウスメーカーと話進めていく内に、土地の価値をすこしづつ理解していく。土地を分けて貰えれば安くいい家を建てれそうだと喜び、実家に了承を得に行く。実家に住んでいた父親は二つ返事で了承した。「なんなら、実家に建てるか?」と言ってきたが、「二世帯なんてごめんだ!」と思い苦笑いで断る。帰り際にホクホク顔で歩いていると、母親がスーッと近づいてきて話しかけてきた。「土地ねぇ…あげるのは良いんだけれど、担保に入ってるのよ」。寝耳に水とはこの事だ。話を聞いていくと、どうやら数年前に賃貸マンションを空いている土地に建てていたらしい。他にも土地は余っているらしいのだが、その建設費用を銀行に借りる時に空いている土地と実家が担保に入れられた様だ。何故そんな事を今まで黙っていたのかと聞くと「相続税対策」という答えが返ってきた。普通の家が7〜8件立つような広い土地で、周囲の発展に伴い地価の高騰。それによる相続税の高騰で払いきれないから相続税対策用の賃貸マンションを建てたとの事だ。母親は疲れた顔で「私は売っちゃえばいいとおもったんだけどね」と。

少し前までの気持ちから一転、足取りは重くなる。父親が担保にいれていた事を黙っていて、土地を貰えない可能性があるという事もあるが、それよりも父親が考え無しに行動をしてしまったのでは無いかと思ったのだ。賃貸マンションの営業の甘い言葉に騙されたのだと。確かに、祖父が所有している財産を相続する際に、多額の費用が発生するのだろう。それを払えないのも分かる。しかし、それの為に賃貸マンションを建てて負債を作り、相続税を安くすることが出来たとしても、その次の世代には繋がるのだろうか?このご時世、賃貸物件の空き部屋が目立つ。都会でない限り、古くなった物件に人は入らなくなり、賃料を安くせざるおえない。その上、数年に一回の改修工事や付帯設備の修理、保守点検や保険など多くの費用がかかりそうだ。その上、空き部屋になれば収入は減り、ローンを支払って行く余裕はあるのか。親が建てた物件を親世代で支払い終える予想ができない。結果として次世代に不良債権を引き継がせるか、相続放棄という流れになるだろう。自分は現状、相続放棄一択だ。他兄弟のことは知らないが、不良債権を抱えるつもりは全く無い。親がどういった経緯で賃貸マンションを建てることになったのか疑問だが、「自分は騙されない」といった慢心、目先の金を掴もうとした浅はかさといったところだろう。

母親の言った「売っちゃえばいい」ってのは自分も同意見だ。自分の限界を超えた財産なんて無理してもつ必要なんてない。広い家に住んできた一種のプライドを投げ捨てれない心を持っているのだろうが、それが原因で全てを持ってかれてしまっては意味がない。少なくとも全て現金化すれば、そのうちの何割かを税として納めて、いくらかは残るだろう。それをしなかったのはくだらないプライドのせいだ。

次世代に繋ぐどころか既に崖っぷちにいるように思える。遺産を食い潰し、子には与えず、無理をして自爆をする。

父のようにだけはなってはならないという戒めを覚えここに綴る。

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